
CLANNAD―クラナド―第22回『影二つ』
久々の更新です。大変遅れてしまったので、今回も短めです。
文化祭当日に、両親の過去を知ってしまった渚。秋生の危惧した通り、落ち込んでしまいました。
果たして、文化祭公演はどうなってしまうのでしょうか…?
文化祭当日に、両親の過去を知ってしまった渚。秋生の危惧した通り、落ち込んでしまいました。
果たして、文化祭公演はどうなってしまうのでしょうか…?
第9回でボロ泣きした身としては、風子と朋也達の再会が無かった事は、とても寂しい結果でした。
でも、風子が朋也達と過ごした『証』は、残されていました。
チョコバナナの屋台での、公子さんと祐介の仲睦まじい様子。この二人が結ばれたのは、風子と朋也達が絆を結んだ結果です。
きっと公子さん達は文化祭が終わった後、風子の病室に赴き、文化祭の楽しい様子を報告するのでしょう。
渚の晴れ舞台を観に来た早苗さんは、校舎で『磯貝さん』に声を掛らけています。
もしかしたら…早苗さんはこの後、『磯貝風子』と名乗っていた少女の事を、ふと思い出したかも知れません。
風子の姿は今、見る事が出来ません。でも、風子は確かに『ここ』にいました。そして、朋也達の心にもきっと。
そして、風子と一番仲が良かった少女――。渚は今、自分が両親の夢を摘んでしまったと思い込み、心を閉ざしています。(かなり強引な展開ですが、気にしないで下さい。)
以前から漠然と、両親に対して申し訳無い気持ちを持っていた渚。その原因が判明した瞬間、何も見えなくなっています。
『渚と一緒に居られる事が、何よりの幸せ』
――秋生や早苗さんにとって、それは真実以外の何者でもありません。
普段の渚なら、その事に気付いたかも知れません。でも、渚の心理状態は『普通』ではありませんでした。
初舞台に臨む、緊張感。
『演劇をしたい』と言う、長年の願いが叶う直前の、昂揚感。
そして、『両親に申し訳無い事をした可能性がある』と言う、漠然とした不安感。
様々な感情が入り混じり、遠足前夜の様な昂ぶりを持っていた渚。
もし物置から懐中電灯だけ見つかっていたら、適度の緊張と興奮を伴って、演劇をするのには最高の状態になっていたかも知れません。
――でも、両親の『夢の跡』まで見つけてしまった…。
その事が、渚の心を閉ざしてしまった。
頑張らなくちゃいけない。
しっかりしなくちゃいけない。
でも、前には進めない――。
『人を呑むおまじない』で、自分を励まそうとしてくれた春原。
『人』を『入』と間違えた春原にツッコミを入れ、『いつもの風景』を見せてくれた、ことみ達。
そして、一緒に文化祭巡りをしてくれて、さり気なく自分を励ましてくれる朋也。
そんな優しい皆を、心配させちゃいけない。
今…渚の心には、『夢を叶えられる喜び』がありません。ただ、『頑張らなくてはいけない』と言う『義務感』だけがあります。
そして渚は、一緒に居た朋也とはぐれてしまう。そんな彼女が向かった先は、資料室。
有紀寧に頼み、過去の演劇コンクールの舞台のビデオを見せてもらった渚。
そこに映っていた父は、自分の知らない表情を見せていた。
全国大会で優勝し、『生涯現役』を高らかに誓う秋生。
『演劇サイコー!』
秋生の言葉を耳にした瞬間、表情を無くす渚。その様子を見ていた朋也は、すかさずテレビを消し、渚が挫けない様に、必死に語り掛ける。
――しかし、朋也の声はもう…渚には届かない。
舞台裏で、『人を呑むおまじない』をする渚。しかし、その表情には色が無い。
渚の様子がおかしい事に気付き、心配する一同。
舞台の幕は上がった。しかし、渚は演技を始めない。渚の脳裏に浮かぶのは、秋生の事ばかり。
いつも、優しく出迎えてくれた。
渚が演劇を始めた事を知り、演劇のビデオを借りてくれた。
そして、演劇に情熱を注いでいた秋生の姿が、繰り返される。
自分の所為で、父に叶えていた夢を諦めさせてしまった――。
顔を覆い、嗚咽する渚。
『演技なのか?』『本気で泣いているのか?』
――観客に、ざわめきが広がる。
「駄目だ!幕を下ろそう!」
春原の叫びに、幕を下ろすボタンを押そうとする朋也。――でも、どうしても押す事が出来ない。
ボタンを押して幕を下ろせば、この場は切り抜けられるかも知れない。
でも、それは渚の夢の終わりを意味する。今までの日々が、全て無駄に終わってしまう。
渚を助けてあげたい。
でも…夢を諦める事の辛さを知る朋也にとって、渚の夢を奪うような真似だけは、絶対に出来ない。
朋也の逡巡は、そこにあったと思います。
そして、誰もが『どうしようもない』と思った瞬間、秋生の叫びが場内に響く。
「夢を叶えろっ、渚!」
渚が夢を叶える事こそが、自分達の夢。
子供の幸せな姿が、何よりも嬉しい。
パン屋をやりながら、渚が夢を叶える瞬間を待ち焦がれてきた秋生達。
ここで渚が挫けたら、『夢』は潰えてしまう。
「渚ぁ、頑張れーっ!」
早苗さんが叫んだ直後、弾かれる様に舞台袖に飛び出す朋也。
「俺達もだぞ、渚っ!」
夢を諦め、挫折した朋也と春原。渚の夢を手伝う事で、救われていた二人。
いつしか、渚の夢の結実が『自分の夢』になっていた。
両親と朋也の声で、渚は両親だけでなく、朋也達の想いも背負っている事に気付く。
自分は多くの人に見守られ、その期待を一身に背負っている。
――自分は、独りぼっちじゃない。
涙を拭き、深呼吸。
皆が見守る中、『幻想物語』の幕が上がる。
「もし宜しければ、あなたをお連れしましょうか?この町の願いが叶う場所に――。」
少女と『僕』の物語。
世界で一人きりの少女と、少女に造られたガラクタ人形。
それは、『幻想世界』の風景そのもの――。
そして二人は、『何も生まれず死なない世界』から、『僕』の居た世界に戻る為の旅に出る事になる。
――最後に、『だんご大家族』が高らかに歌われ、劇は幕を閉じる。
鳴り響く拍手。秋生も、娘の夢の結実を見届けて、満足げ。
中庭で語らう、朋也と渚。『お世辞を言わない』朋也に褒められて、嬉しそうな渚。
『だんご大家族』を歌っていたシーンでは、観客の反応が微妙だったらしい。
(※観客の中には三井さんや、ことみの後見人の紳士も居ましたが(有紀寧の一列前)、この二人がどんな表情をしていたかは、個人的には気になる所です。)
でも、渚の思い出した『話の続き』では、少女は歌っていた様子。それを訊いて、ズッコケる朋也。
和やかな雰囲気の中、朋也の前に、渚に招待された直幸が。顔を背ける朋也――。
「昔の事を思い出したよ。色々と。」
朋也の方を向く直幸。そして、少しの間の後、「じゃあ、私はこれで…。」と、寂しそうに呟き立ち去ろうとした瞬間…。
「あんまり、飲み過ぎるなよ…。」
顔を俯かせたまま、ポツリと呟く朋也。一瞬驚いた表情を見せ、そして微笑み、去って行く直幸。
朋也の表情は見えないが、少し唇が上を向いている。
表面上はどうあれ、本当は父が来てくれた事が嬉しい様子。
『昔の事を思い出した』と、直幸は言っていました。
それは、演劇を観て思い出したのでしょうか?それとも、秋生の叫びを聞いて思い出したのでしょうか?
僕は、両方だと思います。そして、そこには朋也の知らない、妻を亡くした直幸の葛藤と、朋也への愛情があったのではないでしょうか?
秋生は、『子供の夢は、親の夢』と言っています。恐らく、直幸もそうだと思います。
今でこそ堕落していますが、きっと、男手一つで朋也を懸命に育てていた時期があった筈です。
でも、其処に至るまでには、多くの葛藤があった事でしょう。
渚が演じた『幻想物語』(=『幻想世界』)の少女は、『世界で一人きり』の存在です。
これは、妻を亡くした直幸の心境にも繋がっていると思います。
この世界には、もう…愛する妻は居ない。
それは、世界には誰も居ない事と同じ意味だ。
――俺は、世界で独りぼっちなんだ…。
こんな風に、直幸は絶望していたのだと思います。
でも、『幻想物語』の少女には、『ガラクタ人形』(=『僕』)が居ました。
独りぼっちの世界の中で、それは、『たった一つの希望』だったと思います。
直幸にとっても、朋也は、『たった一つの希望』だったのではないでしょうか?
でも、朋也に怪我を負わせてしまった所為で、朋也の夢を閉ざしてしまった。
直幸が朋也に他人行儀にならざるを得ないのは、守るべき存在であり、『たった一つの希望』でもある朋也を傷付けてしまった事への罪悪感からではないでしょうか?
僕は、『CLANNAD』の大きなテーマの一つに、『朋也と直幸の和解』があると思います。
寧ろ、それこそがメインテーマなのかも知れません。
今までの話を振り返ると、風子から始まり渚に至るまで、『家族の在り方』がテーマだったと思います。
朋也が友人達を通じて、様々な『家族の在り方』を学ぶ。
それは、愛する人と結婚して『家族』になった時に役立つでしょう。
朋也が子を成した時、その子を育てる道程で、父・直幸の気持ちに気付くかも知れません。
その時こそ、朋也と直幸の和解の時になるのだと思います。
(※もし…朋也が誰とも結婚せず、子育てをしなかったとしても、渚と出会ってから得た経験は、朋也を成長させる糧となります。大人になれば…いつしか、親の苦労も解る日が来るでしょう。)
直幸が去った後、翌日に渚とのデートの約束を取り付けた朋也。そこに杏が、打ち上げの準備が出来た事を二人に知らせる。
和やかな雰囲気の打ち上げ。そこには演劇部員ではない智代もいますが、杏はもう、嫌な顔をしていません。
『舞台が成功した』と言う喜びが、智代へのわだかまりも洗い流してくれたのでしょう。
翌日、朋也と渚のデート。終始楽しそうな雰囲気のまま夕方になり、演劇部室に向かった二人。
黒板の日直に、自分の名前が書かれている事に気付いた渚。朋也の仕業と知り、『お返しです。』と、隣に朋也の名前を書く。
「明日起きたら、俺達が恋人同士になっていたら、面白いと思わないか…?」
照れながらも、カッコつけて見た朋也。しかし渚は、『?』な顔をする。
『渚には、回りくどいことを言っても無駄』と悟った朋也。
意を決し、「俺と付き合ってくれ、渚!お前の事が好きだ!だから、ずっと俺と居て欲しい!」と告白。
感極まって泣き出す渚。――教室に伸びる、影二つ。
ふと思ったのですが、もし朋也が渚にプロポーズをする時は、間違えても『毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ!』では…駄目でしょうね。
返答例・その1:「えっ?明日の朝は、今夜のカレーの残りにするつもりだったんですが…。」
返答例・その2:「明日は、お母さんが作ってくれますよ。」
――こんな感じで、『普通』に返答されて、朋也は何も言えなくなると思います…。
※感想を書くのがここまで遅れてしまい、本当に申し訳ありません。
少し体調を崩していたのと、私生活での(主に仕事)ストレスで、ちょっとグッタリしていました。
『書きたくても書けない』状態が続き、ドツボに嵌っていました。
でも、改めて今回の放送を観た時、書きたい意欲が戻って来ました。
時間は掛かりましたが、ようやく完成しました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
『すぐに書きます』とは言えませんが、次回の感想も必ず書きます。
でも、風子が朋也達と過ごした『証』は、残されていました。
チョコバナナの屋台での、公子さんと祐介の仲睦まじい様子。この二人が結ばれたのは、風子と朋也達が絆を結んだ結果です。
きっと公子さん達は文化祭が終わった後、風子の病室に赴き、文化祭の楽しい様子を報告するのでしょう。
渚の晴れ舞台を観に来た早苗さんは、校舎で『磯貝さん』に声を掛らけています。
もしかしたら…早苗さんはこの後、『磯貝風子』と名乗っていた少女の事を、ふと思い出したかも知れません。
風子の姿は今、見る事が出来ません。でも、風子は確かに『ここ』にいました。そして、朋也達の心にもきっと。
そして、風子と一番仲が良かった少女――。渚は今、自分が両親の夢を摘んでしまったと思い込み、心を閉ざしています。(かなり強引な展開ですが、気にしないで下さい。)
以前から漠然と、両親に対して申し訳無い気持ちを持っていた渚。その原因が判明した瞬間、何も見えなくなっています。
『渚と一緒に居られる事が、何よりの幸せ』
――秋生や早苗さんにとって、それは真実以外の何者でもありません。
普段の渚なら、その事に気付いたかも知れません。でも、渚の心理状態は『普通』ではありませんでした。
初舞台に臨む、緊張感。
『演劇をしたい』と言う、長年の願いが叶う直前の、昂揚感。
そして、『両親に申し訳無い事をした可能性がある』と言う、漠然とした不安感。
様々な感情が入り混じり、遠足前夜の様な昂ぶりを持っていた渚。
もし物置から懐中電灯だけ見つかっていたら、適度の緊張と興奮を伴って、演劇をするのには最高の状態になっていたかも知れません。
――でも、両親の『夢の跡』まで見つけてしまった…。
その事が、渚の心を閉ざしてしまった。
頑張らなくちゃいけない。
しっかりしなくちゃいけない。
でも、前には進めない――。
『人を呑むおまじない』で、自分を励まそうとしてくれた春原。
『人』を『入』と間違えた春原にツッコミを入れ、『いつもの風景』を見せてくれた、ことみ達。
そして、一緒に文化祭巡りをしてくれて、さり気なく自分を励ましてくれる朋也。
そんな優しい皆を、心配させちゃいけない。
今…渚の心には、『夢を叶えられる喜び』がありません。ただ、『頑張らなくてはいけない』と言う『義務感』だけがあります。
そして渚は、一緒に居た朋也とはぐれてしまう。そんな彼女が向かった先は、資料室。
有紀寧に頼み、過去の演劇コンクールの舞台のビデオを見せてもらった渚。
そこに映っていた父は、自分の知らない表情を見せていた。
全国大会で優勝し、『生涯現役』を高らかに誓う秋生。
『演劇サイコー!』
秋生の言葉を耳にした瞬間、表情を無くす渚。その様子を見ていた朋也は、すかさずテレビを消し、渚が挫けない様に、必死に語り掛ける。
――しかし、朋也の声はもう…渚には届かない。
舞台裏で、『人を呑むおまじない』をする渚。しかし、その表情には色が無い。
渚の様子がおかしい事に気付き、心配する一同。
舞台の幕は上がった。しかし、渚は演技を始めない。渚の脳裏に浮かぶのは、秋生の事ばかり。
いつも、優しく出迎えてくれた。
渚が演劇を始めた事を知り、演劇のビデオを借りてくれた。
そして、演劇に情熱を注いでいた秋生の姿が、繰り返される。
自分の所為で、父に叶えていた夢を諦めさせてしまった――。
顔を覆い、嗚咽する渚。
『演技なのか?』『本気で泣いているのか?』
――観客に、ざわめきが広がる。
「駄目だ!幕を下ろそう!」
春原の叫びに、幕を下ろすボタンを押そうとする朋也。――でも、どうしても押す事が出来ない。
ボタンを押して幕を下ろせば、この場は切り抜けられるかも知れない。
でも、それは渚の夢の終わりを意味する。今までの日々が、全て無駄に終わってしまう。
渚を助けてあげたい。
でも…夢を諦める事の辛さを知る朋也にとって、渚の夢を奪うような真似だけは、絶対に出来ない。
朋也の逡巡は、そこにあったと思います。
そして、誰もが『どうしようもない』と思った瞬間、秋生の叫びが場内に響く。
「夢を叶えろっ、渚!」
渚が夢を叶える事こそが、自分達の夢。
子供の幸せな姿が、何よりも嬉しい。
パン屋をやりながら、渚が夢を叶える瞬間を待ち焦がれてきた秋生達。
ここで渚が挫けたら、『夢』は潰えてしまう。
「渚ぁ、頑張れーっ!」
早苗さんが叫んだ直後、弾かれる様に舞台袖に飛び出す朋也。
「俺達もだぞ、渚っ!」
夢を諦め、挫折した朋也と春原。渚の夢を手伝う事で、救われていた二人。
いつしか、渚の夢の結実が『自分の夢』になっていた。
両親と朋也の声で、渚は両親だけでなく、朋也達の想いも背負っている事に気付く。
自分は多くの人に見守られ、その期待を一身に背負っている。
――自分は、独りぼっちじゃない。
涙を拭き、深呼吸。
皆が見守る中、『幻想物語』の幕が上がる。
「もし宜しければ、あなたをお連れしましょうか?この町の願いが叶う場所に――。」
少女と『僕』の物語。
世界で一人きりの少女と、少女に造られたガラクタ人形。
それは、『幻想世界』の風景そのもの――。
そして二人は、『何も生まれず死なない世界』から、『僕』の居た世界に戻る為の旅に出る事になる。
――最後に、『だんご大家族』が高らかに歌われ、劇は幕を閉じる。
鳴り響く拍手。秋生も、娘の夢の結実を見届けて、満足げ。
中庭で語らう、朋也と渚。『お世辞を言わない』朋也に褒められて、嬉しそうな渚。
『だんご大家族』を歌っていたシーンでは、観客の反応が微妙だったらしい。
(※観客の中には三井さんや、ことみの後見人の紳士も居ましたが(有紀寧の一列前)、この二人がどんな表情をしていたかは、個人的には気になる所です。)
でも、渚の思い出した『話の続き』では、少女は歌っていた様子。それを訊いて、ズッコケる朋也。
和やかな雰囲気の中、朋也の前に、渚に招待された直幸が。顔を背ける朋也――。
「昔の事を思い出したよ。色々と。」
朋也の方を向く直幸。そして、少しの間の後、「じゃあ、私はこれで…。」と、寂しそうに呟き立ち去ろうとした瞬間…。
「あんまり、飲み過ぎるなよ…。」
顔を俯かせたまま、ポツリと呟く朋也。一瞬驚いた表情を見せ、そして微笑み、去って行く直幸。
朋也の表情は見えないが、少し唇が上を向いている。
表面上はどうあれ、本当は父が来てくれた事が嬉しい様子。
『昔の事を思い出した』と、直幸は言っていました。
それは、演劇を観て思い出したのでしょうか?それとも、秋生の叫びを聞いて思い出したのでしょうか?
僕は、両方だと思います。そして、そこには朋也の知らない、妻を亡くした直幸の葛藤と、朋也への愛情があったのではないでしょうか?
秋生は、『子供の夢は、親の夢』と言っています。恐らく、直幸もそうだと思います。
今でこそ堕落していますが、きっと、男手一つで朋也を懸命に育てていた時期があった筈です。
でも、其処に至るまでには、多くの葛藤があった事でしょう。
渚が演じた『幻想物語』(=『幻想世界』)の少女は、『世界で一人きり』の存在です。
これは、妻を亡くした直幸の心境にも繋がっていると思います。
この世界には、もう…愛する妻は居ない。
それは、世界には誰も居ない事と同じ意味だ。
――俺は、世界で独りぼっちなんだ…。
こんな風に、直幸は絶望していたのだと思います。
でも、『幻想物語』の少女には、『ガラクタ人形』(=『僕』)が居ました。
独りぼっちの世界の中で、それは、『たった一つの希望』だったと思います。
直幸にとっても、朋也は、『たった一つの希望』だったのではないでしょうか?
でも、朋也に怪我を負わせてしまった所為で、朋也の夢を閉ざしてしまった。
直幸が朋也に他人行儀にならざるを得ないのは、守るべき存在であり、『たった一つの希望』でもある朋也を傷付けてしまった事への罪悪感からではないでしょうか?
僕は、『CLANNAD』の大きなテーマの一つに、『朋也と直幸の和解』があると思います。
寧ろ、それこそがメインテーマなのかも知れません。
今までの話を振り返ると、風子から始まり渚に至るまで、『家族の在り方』がテーマだったと思います。
朋也が友人達を通じて、様々な『家族の在り方』を学ぶ。
それは、愛する人と結婚して『家族』になった時に役立つでしょう。
朋也が子を成した時、その子を育てる道程で、父・直幸の気持ちに気付くかも知れません。
その時こそ、朋也と直幸の和解の時になるのだと思います。
(※もし…朋也が誰とも結婚せず、子育てをしなかったとしても、渚と出会ってから得た経験は、朋也を成長させる糧となります。大人になれば…いつしか、親の苦労も解る日が来るでしょう。)
直幸が去った後、翌日に渚とのデートの約束を取り付けた朋也。そこに杏が、打ち上げの準備が出来た事を二人に知らせる。
和やかな雰囲気の打ち上げ。そこには演劇部員ではない智代もいますが、杏はもう、嫌な顔をしていません。
『舞台が成功した』と言う喜びが、智代へのわだかまりも洗い流してくれたのでしょう。
翌日、朋也と渚のデート。終始楽しそうな雰囲気のまま夕方になり、演劇部室に向かった二人。
黒板の日直に、自分の名前が書かれている事に気付いた渚。朋也の仕業と知り、『お返しです。』と、隣に朋也の名前を書く。
「明日起きたら、俺達が恋人同士になっていたら、面白いと思わないか…?」
照れながらも、カッコつけて見た朋也。しかし渚は、『?』な顔をする。
『渚には、回りくどいことを言っても無駄』と悟った朋也。
意を決し、「俺と付き合ってくれ、渚!お前の事が好きだ!だから、ずっと俺と居て欲しい!」と告白。
感極まって泣き出す渚。――教室に伸びる、影二つ。
ふと思ったのですが、もし朋也が渚にプロポーズをする時は、間違えても『毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ!』では…駄目でしょうね。
返答例・その1:「えっ?明日の朝は、今夜のカレーの残りにするつもりだったんですが…。」
返答例・その2:「明日は、お母さんが作ってくれますよ。」
――こんな感じで、『普通』に返答されて、朋也は何も言えなくなると思います…。
※感想を書くのがここまで遅れてしまい、本当に申し訳ありません。
少し体調を崩していたのと、私生活での(主に仕事)ストレスで、ちょっとグッタリしていました。
『書きたくても書けない』状態が続き、ドツボに嵌っていました。
でも、改めて今回の放送を観た時、書きたい意欲が戻って来ました。
時間は掛かりましたが、ようやく完成しました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
『すぐに書きます』とは言えませんが、次回の感想も必ず書きます。
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