
『映画ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス』感想
新しい服こそ着ませんでしたが、眼鏡を新調して準備万端。
台風もなんとか逸れ、映画館に到着すると、既に人だかりでした。
当初は、映画の第一印象だけ少し書くつもりでしたが、数日間体調を崩した為、方向転換。
いつもの様に、長々と感想を書きました。
未だ覚めやらぬ感動が、少しでも伝われば幸いです。
拙い記憶を頼りに書いたので、内容に齟齬があると思いますが、ご容赦下さい。
※11月4日・追記。
2回目の鑑賞後、齟齬のあった内容を、少し修正しました。
映画館(※梅田ブルク7)に到着すると、ロビーには『ドキドキ!プリキュア』の映画目当ての親子連れ以上に、『魔法少女まどかマギカ』目当てのファンでごった返していました。
その様子を見ながら、「『まどか』は、大阪ステーションシネマで上映すれば良いのに…。」と内心思いつつ、グッズ販売の列に並んでいると、其処は『まどか』専用の列。
係員の誘導で案内されたのは、ポップコーン等の売り場でした。
グッズ売り場と軽食売場は、裏で通路が繋がっている様で、少し不思議な感覚に捕らわれながらも、無事にグッズを購入。
購入金額の総額は何と、5000円を超えていました。
そんなに高価なモノは買った覚えはないのに、恐るべし映画館効果(※勝手に命名)。
一気に財布が軽くなりました。
何とか上映前に座席に着く事に成功し、妹と上映を待つ事約5分。
『映画泥棒』等のCMの後、映画が開始しました。
本編前の恒例の諸注意は、マナ達プリキュアとシャルル達妖精の総出演。
『ミラクルブーケライト』の使用法を学び、本編が始まりました。
マナが帰宅すると、其処には純白の生地に黄色いバラの飾りをあしらった、綺麗なウエディングドレスが。
何でも、服の入れ替えをしていたら見付かったそうです。
そのウエディングドレスは元々、あゆみさんの母にしてマナの祖母である、五十鈴さんのドレス。
五十鈴さんが宗吉さんと結婚した際に袖を通し、あゆみさんが健太郎さんと結婚する際に受け継いだ、想い出の品でした。
その話を聞いて、「私も着たい!」と叫んだマナ。その一言を聞いて、「相手がいるの!?」と驚く両親。
特に健太郎さんは、誰の目にも明らかな程に狼狽えています。
「違うよ!」と、笑顔で否定するマナ。
でも、祖母から母へと受け継がれているウエディングドレスに憧れている事を、両親に告げました。
「型も古いし、解れもあるわよ?」とあゆみさんに言われてもなお、ドレスに憧れるマナ。
「着たいんだったら、着ればいい。お前のおばあさんも喜ぶだろう。」
祖父・宗吉さんの許可を得て、このドレスはマナに受け継がれる事になりました。
そして舞台は、未来。マナの結婚式へ。
健太郎さんと一緒にバージンロードを歩く、マナ。
マナのウェディングドレスの裾(ベールだったかも?)を持っているのは、シャルル達4人の妖精。
妖精の存在がバレても大丈夫なのかと心配しつつも、「目出度い席だから良いか!」と、微笑ましい気持ちになって観ていました。
一歩ずつ近付く、マナの結婚相手。髪が見えて来ました。
アレ?もしかして、イーラ…??六花とは、どうなったの??
戸惑っていると。身体は大人なのに、顔だけが大人のイーラが登場。
そのチグハグさに思わず笑ってしまいました。
そして、神父の顔(マスク)が剥がれて、ベールが登場。
更にピアノを弾いていた長髪の女性の正体は、マーモ。
結婚式場を大挙して襲うジコチュー達。
もしかして、まだ、彼等との戦いは続いているのでしょうか!?
「プリキュア!ラブリンク!!」
(※実際にはOP曲が流れていて台詞が無い為、台詞自体はありません。)
会場の人々を助ける為に、プリキュアに変身したマナ達。
『もしかしたら、シリーズ初の大人になったプリキュアが観られる!?』
そう思い期待していましたが、現れたのは、いつもの5人のプリキュアの姿。
もしかしたら、プリキュアに変身した際は、どんなに歳を重ねても『プリキュアとしてピークの姿』で変身するのかも知れません。
晴れがましい結婚式が一転、戦いの場に。
激しい攻防が続き――。
しかし、幸いな事に、これはマナの見た夢でした。
翌日。
ドレスの一件を六花と真琴に話したマナ。その報告を受け、「意外ねぇ?」と呟く六花。
ガールズトークに花を咲かせていると、其処に偶然、ゴミ箱を抱えた二階堂君と百田君に遭遇しました。
「はっ!珍獣に相手なんて、居るのかよ?」みたいな事を言い、照れ隠しにマナをからかう二階堂君。
その瞬間、真琴は手にした箒の先を二階堂君に突き付け、「女の子の夢をからかうなんて、許せない!」と本気で怒りました。
「まあ。男の子は、好きな女の子の前では素直になれないっていうしね?」
二階堂君の見え見えの態度をからかう、六花。それを見て紅潮する二階堂君。
「好きなら好きって、素直に言えば良いじゃない!」と、まだ怒り覚めやらぬ真琴。
「そうだよ!好きだったら、ハッキリとその人に言うべきだよ!!」
二階堂君に向かって、キッパリと叫ぶマナ。
マナの天然ボケに似た鈍感さに、呆気に取られる一同。
照れる二階堂君の手を取り、『願いが叶うおまじない』を伝授するマナ。
「こうやって、掌にハートを書いてお願いしたら、願いが叶うんだよ!」
想い人に手を取られ、更に赤面する二階堂君。
こうして改めて観ると、マナは罪作りです。女の子ですが、天然のジゴロと呼んでもおかしくはないでしょう。
慌てて逃げ去る二階堂君を、「待ってくれよ!アニキ!」と言いつつ追い掛ける百田君。
二階堂君と百田君の関係が、今時珍しい『兄弟分』である事が判明しました。
何となくですが、八嶋さんが目にしたら、喜びそうな事案です。
放課後。
四葉邸でのティーパーティで、『鈍感さ』を六花達にからわわれ、照れるマナ。
二階堂君の話題が出て微笑むありすに、「二階堂君の事、知ってるの?」と訊く真琴。
「皆、同じ小学校でしたから。」と返答するありす。
真琴に小学生時代の事を訊かれ、「今と大体同じよ。」と語る六花。
六花とありすが、マナに振り回される、今と余り変わらない日常だった様です。
「マシュマロみたいだから、略してマロ!」
八嶋さんが見付けた捨て犬の里親を探す際、すぐにマナが名付け親になり、始めから飼う気満々だったエピソードが明らかになりました。
マナが犬を飼っていた事を知り、驚くシャルル達。
「マロは今、どうしているの?」と真琴に訊かれ、「理由があって、今はもう居ないんだ…。」と、寂しそうに語るマナ。
その直後、気を取り直して「未来の話をしようよ!」と、自分達の輝ける未来について話題を振りました。
「ママみたいな立派な医者になるまで、恋愛なんて考えられないわ!」
マナの質問に対し、将来に向かって突き進むと言う、とてもストイックな解答をした六花。
どうやら、イーラとの恋の進展は、当分無さそうです。
「私は、お見合いを勧められましたわ。」
とんでもない事を、サラリと言うありす。その告白を聞き、驚くマナ達。
食い入る様に詳細を訊くと、『下は5歳から、上は65歳』からとの事。
どっちに転んでも、犯罪の匂いがプンプンします。
しかし、それらの誘いをありすは全て断りました。
自分がまだ至らないと自覚している事と、マナ達との楽しい日々を優先したいからとの事でした。
マナと同様以上に何でも出来るのに、「まだ至らない」と語るありす。
彼女のお眼鏡に叶う相手は、果たして現れるのでしょうか?
ありすがお見合いを断った事を知り、安心する真琴。
「もしかしてまこぴー、先を越されたと思って慌てたんじゃないの?」「そんな事、無いわよ!」
「芸能界に、お相手はいないの?」「い、居ないわよ!」
思わぬ所で話題を振られ、慌てる真琴。
まだ先の、取り留めのない話。でも、いつかあるかも知れない未来。
そんな話をしながら、今日も日が暮れて行きます。
ひっそりと取り壊される、古びた映画館。その様子を、名残惜しそうに眺める大貝町の住人達。
最後に老人が静かにその場を離れた時、半壊している映画館の映写機のある部屋に、謎の侵入者が。
人々が簡単に想い出を忘れてしまう事に、悲しみと怒りを覚えるその人物がクラリネットを吹くと、粗大ごみ置き場のゴミや、今は使われずに物置に仕舞われている品々が一斉に宙を舞い合体。
巨大なクジラの船の形になりました。
取り込まれた品の中には、六花の家からは、ピアノが。
このシーンで、かつて六花がピアノを習い、現在は止めてしまっている事が判明しました。
マナの家からは、幼い頃にマナが使っていた遊具の数々が。
その異様な光景を目の当たりにし、驚く宗吉さん。
マナが受け継ぐ事を決めたウェディングドレスも、要塞に引き寄せられそうになりましたが、「あなたは私が引き継ぐんだから!」と言うマナの叫びが通じ、ドレスは確保する事が出来ました。
謎の青年が吹くクラリネットの音色に操られ、集められた品々は一塊になり、クジラ型の空飛ぶ要塞に。
要塞から多数の映写機が繰り出され、放たれた光に人々が吸い込まれて行きます。
その中には、相田家の人々も。
異常事態を察し、集まる仲間達。しかし、この時点では何故か、亜久里は居ません。
「相田マナ。お前を迎えに来た。」「マナ、あの人知ってるの?」「知らない!知らない!」
謎の人物・マシューは、マナを迎えに来たと語りますが、マナには見覚えの無い様子。
「そうか。覚えていないか…。」と寂しそうに語るマシュー。
『オモイデの国』の王を名乗るマシューは、大貝町の人々と同様に、マナ達も『想い出の世界』に閉じ込める事を宣言。
3人の部下(※パープルバギー・シルバークロック・マネキンカーマイン)を繰り出し、また、自らも『イレブン・ファング』と言う強力な技を駆使し、マナ達を襲います。
プリキュアに変身し、3人の部下を圧倒したキュアハート達。
しかし、敵はバラバラにされても何度も蘇り、次第に劣勢に陥ります。
一瞬の隙を突き、煙に紛れてキュアハート達を逃がそうとするセバスチャン。
しかし、力及ばずに光に呑み込まれてしまいました。
そして、キュアハート達もまた――。
「私達は、絶対に諦めない!」
敵に呑み込まれる時も、凛と前を向き諦める様子を見せないマナ達。
その凛々しい表情は、思わず見入ってしまう程にカッコ良かったです。
それぞれの『想い出の世界』に飛ばされるマナ達。
マナが飛ばされたのは、小学4年生の頃でした。
目を覚ますと、其処には既に他界している筈の、祖母・五十鈴さんの姿が。有り得ない事態に驚く、マナ。
その直後、自身が現在の意識を残したまま、小学4年生に戻っている事に気付きます。
「ただいま~。」と、母・あゆみさんが帰宅する声が。
さっき一緒に吸い込まれた母なら、この異常事態を説明出来るかも知れないと期待するマナ。
次の瞬間、マナが目の当たりにしたのは、母の姿と、今はもう会うことが出来ない筈の愛犬・マロの姿でした。
「ずるいよ。こんなの見せられたら、嬉しいに決まってるよ!」
もう2度と会えない筈のマロに会えた。
その事が嬉しくて、涙を浮かべながらマロを強く抱き締めるマナ。
この時のマナの気持ちは、痛い程良く解ります。
もしたった一度でも、亡くなった愛犬と再会出来るなら、どんなに嬉しい事でしょうか。
一刻も早くこの世界から脱出しなくてはいけないのに、愛する人達との束の間の再会に、何時までも浸りたくなる。
そんな想いを抱いたのか、マナは「少しだけなら、良いよね。」と、夢の世界に少しだけ浸る事にしました。
その頃、パートナー達と逸れてしまったシャルル達。
何とかマナ達と再会する術を求めますが、見付かりません。
其処に登場したのは、謎の妖精・べベル。
マシューと『長い付き合い』と言う彼女の助力を得て、シャルル達は、マナ達を救う為に要塞に乗り込む事に。
クローバータワーの天辺に、DBの姿で立つダビィ。
胸元にシャルル達とべベルを収めて、ムササビの様に飛行し、要塞へ侵入。
要塞内の敵を、次々と体術で沈めて行きます。
シャルル達にその強さを賞賛され、「これ位はね!」と言う感じの言葉で返すダビィ。
人間の姿でも戦闘訓練を積んでいるあたり、戦士としてもエリートなのでしょう。
人々の心が映画のフィルムとして収められている部屋から、それぞれのパートナーのフィルムを発見したシャルル達。
しかし、シャルルだけはマナのフィルムを見付けられませんでした。
「お探しの品は、これかな?」と、マナのフィルムを見せ付けるシルバークロック(※だったと思う。)
こうしてシャルル達は、呆気無くマシュー達に捕まってしまいました。
「時間が止まってしまったお前と違って、マナ達には輝かしい未来があるんだ!」
「それは、お前が奪っていいモノじゃないんだ!」
べベルは人々の心を解放する様にマシューを説得しますが、マシューは頑として受け入れません。
「この世界に留まる事が、マナにとっては幸福なんだ。」と言った感じで、マナに拘りがある様子。
べベルの言葉の真意が解るのか、苦い表情のべベル。
両者とマナには、一体どんな因縁があるのでしょうか?
一方、縛られていたシャルル達は、ダビィが変身を解いて元の姿に戻った事で縄が解け、無事に脱出。
それぞれのパートナーの心を救う為、過去が映った『映画』に向かい、飛び込みました。
祖母と愛犬との再会を喜びつつも、何とか元の世界に戻ろうとしたマナ。
早速、頼れる相棒・六花を探しに菱川家へ。
しかし、其処に居たのは見知らぬ外国人男性。
家を間違えたと思いマナが謝ると男性は、「ハハハ!何言ってるんだい?ココは昔から、ボクの家で~す。」みたいな、『ありがちな外国人っぽい台詞』で、笑顔で語り掛けます。
不思議に感じ、家の表札を見ると、『ジョン・スミス』の名前が。
日本に例えると、『山田太郎』の様な、ありふれた名前であると共に、偽名の代名詞でもあるその名前。
この世界が、マナ達の住んでいる四葉町とは少し違う事が推測出来ます。
その後、夏休みの登校日だったこともあり、小学校へ登校するマナ。
やはり其処にも、六花とありすの姿は見えません。
丁度登校して来た二階堂君と百田君にも2人の行方を訊きますが、二階堂君達は、六花とありすの存在を知らない様でした。
改竄された世界に戸惑いながらも、脱出する術が解らないマナ。
そして遂に、『忘れられない悲しい出来事』を追体験する事になります。
五十鈴さんが転倒して入院した事を知り、大慌てでお見舞いしようとするマナ。
マナに遊んでほしかったのか、ワンワンと吠えるマロ。
「ゴメン。また、後でね…!」
この言葉が何を齎すのか、マナは知っていた筈です。
でも、五十鈴さんを心配する余り、それを忘れてしまったのでしょう。
後ろ髪を引かれる想いで、四葉病院へ急ぐマナ。
入院していたものの、まだ元気な五十鈴さん。
「大した事は無い。」と笑いますが、マナは祖母の身体が日々弱っている事に気付いています。
「最近お婆ちゃん、よく転ぶし…。」と言う言葉が、五十鈴さんの衰えと別れの日が近付いている事を予感させます。
「おばあちゃん。私が結婚するまで元気で居てね…。」
「モチのロンさ!」
――この五十鈴さんの約束が叶わない事を、当時のマナは知る由もありませんが、今のマナは知っています。
これが、とても切なく感じました。
そして、五十鈴さんのお見舞いを終えた後に、シャルルと合流を果たしたマナ。
元の世界に戻る前に、五十鈴さんとマロにお別れを言う決意をした後、帰宅すると…。
店先に何故か停まっているパトカーと、店を囲む様な野次馬。
只ならぬ雰囲気にマナが戸惑いつつ帰宅すると、悲しい出来事が。
マナを追い掛けようとしたマロが、店舗近くの道路で撥ねられて…。
店内に敷かれたタオルの上で、もう動かないマロ。
「パパが、マロの紐が切れかけている事に気付かなかったから…。」自分を責める健太郎さん。
「違うよ…。パパの所為じゃないよ…。」
いつもなら気付けた筈の、マロの気持ち。
でも、五十鈴さんの身を案じる余り、見過ごしてしまった…。
マロにしがみ付きながら号泣するマナ。
悲しみを追体験し、マナの心は千切れる程に傷付きました。
「未来には、君を悲しませる事しか起こらない。このまま此処に留まれば、悲しい思いはしなくて済む…。」
「もう、悲しい事を思い出したくない…。」(※2人の会話は大体、こんな感じです。)
マシューの囁きを受け入れ、『オモイデの国』の住人になる事を決めたマナ。
こうして、マナは自らの未来を閉ざす決断を下し、マナの物語は『END』を迎えました。
マナが『オモイデの国』に留まる事を確認し、満足そうに呟くマシュー。
そんな彼に、「アンタ。本当にそれでいいのかい?」と、切なそうに呟くべベル。
べベルはきっと、マシューが『自分の本当の気持ち』から目を背けている事に気付いているのでしょう。
マナが甘く切ない夢の世界に留まる事を決めた頃、六花とありすもまた、過去の記憶の追体験をしていました。※今迄、どんな時でも決して諦めなかったマナ。今回初めて、何もかも諦めようとしています。
ただ、この時のマナの気持ちは、個人的には痛い程に理解出来ます。
人は誰しも、余程の事が無い限り、親しい人との別れを経験します。
僕もかつて、父と愛犬の別れを経験しました。
いつも傍に居てくれる人達との別れは、何よりも悲しいものです。
マナが今経験しているのは、一部の過去が改竄されていて多少の齟齬があるものの、概ね過去に体験した出来事です。
つまりマロとの別れの悲しみは、一度経験済みの出来事です。
悲しい出来事ではありますが、何らかの形で、マナは乗り越えている筈です。
でも、今も忘れられない、もしかしたら未だに自分を責めているかも知れないマナにとって、この追体験は余りにも酷です。
更にこの後に待ち受けているのは、最愛の祖母・五十鈴さんとの永遠の別れ。
『お婆ちゃんっ子』で、祖母の『モチのロン』の口癖や考え方を受け継いでいるマナにとって、この追体験だけは決してしたくなかった筈です。
おばあちゃんが居て、マロが居る。ささやかだけど楽しい日々が、何時までも続く世界。
それは悪夢かも知れないけど、この時のマナにとっては、心地良い居場所だったのだと思います。
どんなに仕事が忙しくても、ピアノの発表会の時は必ず一緒に居てくれる、六花の両親。
縫いぐるみのクマが友達だった幼いありすが、初めて社交界にデビューした頃の記憶。
六花とありすにとって、それは楽しい想い出でした。
――でも、何かが足りない。
発表会のご褒美に、美味しいものをご馳走してくれると語る六花の両親。
六花が食べたいと望んだのは、『オムライス』でした。
『ぶたのしっぽ亭』で幼い頃からマナと一緒に過ごした六花にとって、『一番楽しい日々の記憶』。
たとえ改竄された世界であっても、六花の心にはマナとの日々が息づいていました。
「パパが知っている、オムライスの美味しい店に行こう。」幼い六花に語る、悠蔵さん。
もしかすると、六花がマナの家の隣に引っ越すキッカケになったのは、悠蔵さんが取材旅行で四葉町に赴いた際に、『ぶたのしっぽ亭』に立ち寄ったからなのかも知れません。
そして、縫いぐるみのクマを車内に置き、社交界デビューを果たそうとしていたありす。
『オモイデの国』ではお互いを知らない筈の六花とありすが今、邂逅を果たしました。
運命的な何かを感じたのか、お互いの名前を訊く、六花とありす。
その瞬間、2人の心を救う為に飛び込んだラケルとランスが、それぞれのパートナーと衝突。
六花とありすは、自分の本当の記憶を取り戻し、元の姿に戻りました。
マナと合流を果たそうとする六花とありすを倒す為、追い掛けて来た2人の刺客(※シルバークロック・パープルバギー)。
合体した難敵と戦いながら、キュアダイヤモンドとキュアロゼッタは、それぞれ新技を披露しました。
『プリキュアダイヤモンドブリザード』で敵を撃破するキュアダイヤモンド。
そしてキュアロゼッタは、『プリキュアロゼッタリフレクション ダブルクラッシュ』と言う、ロゼッタリフレクションを2つ展開して挟み込むという荒業で、敵を撃破。
「マナの居ない世界なんて、意味が無い!」
難敵を撃破した2人でしたが、力尽きその場に崩れ落ちる事に。
「トランプ王国の皆さん。此処に今、新たなプリキュア、キュアソードが誕生しました。」
「あなたはこれから、キュアソードと名乗るのです。」
真琴が追体験していたのは、自分がアン王女から『キュアソード』の名前を賜った瞬間でした。
本当のトランプ王国は今、キングジコチューにより滅ぼされて廃墟になっている。
敬愛する主君・アン王女は未だ、一向に目を覚まさない…。
頭の中では、これが幻だと気付いている筈の、真琴。
しかし、故郷の復興を夢見て戦い続けている彼女にとって、この光景は、『甘美な果実』でした。
甘美な夢に浸ろうとした真琴の目を覚まさせたのは、ダビィ。
ダビィは、この世界が夢だと語りますが、真琴はまだ、現実を直視しようとしませんでした。
「そんな事は、解ってるわよ!でも怖いのよ!もう2度と、独りぼっちになりたくないのよ!!」
そんな感じの事を叫んだ、真琴。
今はマナ達と懸命に、故郷と友達(レジーナ)を取り戻す為に頑張っている真琴。
ただ、それが実際に叶うかは定かではありません。
万一キングジコチューに返り討ちにされてしまったら、トランプ王国の復興はおろか、マナ達と言う大切な存在も失ってしまう――。
どんなに前向きに頑張っていても、真琴の心の何処かにはきっと、『喪う事への恐怖』が刷り込まれているのだと思います。
甘美な夢に溺れてしまえば、その不安から解放され、ずっと安らいだ気持ちになる事が出来る。
そんな事を真琴が考えてしまっていたとしても、仕方が無いと思います。
しかし、彼女の2つ名は『勇気の刃』。何時までも挫けてばかりではありませんでした。
「真琴の意気地なし!真琴はもう、独りじゃないビィ!!」
「ごめんなさい、ダビィ!私はもう、独りじゃない!!」
ダビィに叱咤激励され、甘美な夢を振り払い、再び戦いに身を投じました。
「愛を無くした悲しいマネキンさん!このキュアソードが、愛の剣で、あなたの野望を絶ち切ってみせる!!」
久々のキュアソードの名乗りは、身震いする程にカッコ良かったです。
当初はマネキンカーマインに善戦するも、巨大化した敵に捕まってしまうキュアエース。
その瞬間、「きゅぴらっぱー!」と言う声と共に、マネキンの手がバラに変化。
苦戦するキュアソードを救ったのは、何処からともなく現れたキュアエース&アイちゃんでした。
「愛は、時間を超えるのです!」
映画が始まって以来現れず、その登場が危ぶまれていたキュアエースとアイちゃん。
キュアソードを危機から救う為に颯爽と現れたのはきっと、両者に『トランプ王国時代からの強い絆』があるからでしょう。
キュアエースとアイちゃん、そして、今回の映画では未登場のレジーナ。
この3人の秘密が本編で明かされるのは、もうすぐでしょうか?
「あなたの勇気の刃は、まだ折れてない筈です!!」キュアソードを励ますキュアエース。
ラブキッスルージュで援護射撃をした後、止めを刺す様にアドバイス。
そして渾身の、『アルテマソード』で、敵を撃破したキュアソード。
しかし、撃破したのも束の間、敵の自爆に巻き込まれ、倒されてしまいました。
一方、マシューの囁きに取り込まれてしまったマナ。
終わらない夏休みを過ごしている内に、瞳に生気が失われつつありました。
家に戻って来ても、虚ろな返事をするマナ。その姿を心配そうに見守る、五十鈴さん。
シャルルが幾ら諭しても、この虚ろな世界に留まる事を呟くマナ。
「何で、おばあちゃんやマロの分まで、精一杯生きようって考えないシャルか!!」
シャルルの言葉を聞いてもなお、立ち直らないマナ。
其処に、「友達の言葉は聞くもんだよ。」と、五十鈴さんが入室しました。
「耳を澄ましてご覧。マナを呼ぶ友達の声が聞こえる筈だよ。」
五十鈴さんの言葉で、仲間達の声に耳を澄ますマナ。すると、別の世界からマナを呼ぶ仲間達の声が聞こえました。
この時点では、五十鈴さんが何故シャルルの存在を普通に受け入れているのかが解りませんが、最後にそのカラクリが判明します。
五十鈴さんは、マナの名前(※相田 愛(マナ))と言う名前は、自分が名付けたと語りました。
『私達の愛を、次の世代(マナの子供)に引き継いで欲しい。人々に愛情を注いであげられる人になって欲しい。』
マナの名前に込められた理由は、愛に満ち溢れたものでした。
五十鈴さんとの語らいで、大切な気持ちを思い出したマナ。
元の世界に戻ろうと試みますが、出来ずに困っている事を明かします。
「忘れちまったのかい?『願いが叶うおまじない』。掌にハート書いて、願ってごらん?」
マナの掌にハートを書く五十鈴さん。一緒に祈るマナ。
すると身体が光り出し、元の姿に。
夢の世界から抜け出す寸前、「また、会える?」と、五十鈴さんに訊くマナ。
「モチのロンさ!」
愛する祖母の笑顔に見送られ、マナは元の世界に戻りました。
マナが元の世界に戻ると同時に、六花達もまた現実世界に復帰。
再び変身した一同は、要塞の天辺でマシューと対峙します。
「僕を置いて、君だけが未来に進むなんて、許さない!!」
「マロ!あなた、マシュマロ!なの!?」マシューのその一言を聞き、彼の正体に気付いたキュアハート。
マシューの身体が光り出し、巨大な狩猟犬の姿(※ゾウと同じ位の大きさ)に変貌。
悲しみをぶつける様に、キュアハートに飛び掛かりました。
『イレブン・ファング』を躱した後、身じろぎせずにマロの牙を肩に受け、蹲るキュアハート。
プリキュアシリーズとしては異例の、出血シーンがありました。
「気付けなくてゴメンね、マロ。」キュアハート敢えてマロの牙を受けたのは、愛犬に対する謝罪の為でした。
そして場面は、マロとの出会いの想い出の詳細シーン。
八嶋さんが見付けて来た、捨てられた子犬。
その子犬を見た瞬間、「マシュマロ!略してマロ!」と、子犬の名付け親になったマナ。
「飼い主を捜してあげよう!」みたいな事を言っておきながら、最初から自分で飼うつもりのマナに苦笑する六花。微笑むありす。
こうして子犬は『マシュマロ(※マロ)』として、相田家の一員になりました。
※このシーンを観た瞬間、脳裏にOP曲の2番の、『マシュマロ!マロ!マロ!』と言うフレーズが浮かびました。
当初は解らなかった歌詞の意味が解った瞬間、思わず泣きそうになりました。
マナとマロの過ごした日々は、短かったかも知れない。
でも、マロはマナと出会って、本当に幸せだった。
「皆を夢の世界から解放して、一緒に謝ろう。」と、マロに呼び掛けるキュアハート。
その言葉にマロが答えようとした瞬間、真の黒幕が正体を現しました。
「騙されるな!忘れたのか?お前を忘れてしまった者の事を!」
「私を裏切る事は、許さん!お前は、私の僕のマシューだ!!」
そんな感じの言葉で、マロを縛ろうとする者の正体は、マロが吹いていたクラリネット。
きっと壊れて捨てられて、付喪神になったのでしょう。
人々に復讐を果たす為に、マナと別れて寂しいマロの気持ちを弄び、操っていたのでした。
しかし、マナが人間に変身した自分の正体に気付いてくれたお蔭で、マナが自分の事を忘れていなかった事を知ったマロは、高らかにこう宣言します。
「違う!僕は、マシュマロだ!!」
クラリネットの軛を解き、自分の本当の心を取り戻したマロ。
マロと再び心を通わせる事が出来て、嬉しいキュアハート。
「こうなったら、お前達の未来を壊して、何もかも無くしてやる!!」
捨て台詞を吐き、未来に逃げ去ったクラリネット。
過去・現在・未来は繋がっているから、未来を壊せば今のマナ達も消滅する。
事態を重く見たキュアハート達でしたが、キュアハートは重症。未来へ行く術も見付かっていません。
其処で、『ミラクルブーケライト』の伝説を思い出した亜久里。
映画会場の観客から応援のエネルギーを得る事で、奇跡の力が生まれる事を説明し、プリキュア達はスクリーン越しに強く願います。
「皆!私達に力を貸して!!」
プリキュア達の願いを叶える為に、ミラクルブーケライトを振る観客達。
僕も、売店で購入したブーケライトを光らせ、心の中でプリキュアを応援しました。
「皆!有難う!!」
ブーケライトの力はキュアハートの傷を癒し、プリキュア達を未来へ送り届ける力となりました。
未来の何処かの教会で執り行われる、結婚式。
花嫁はマナ。新郎の顔は、冒頭の夢と同じく見えません。
マナの結婚式の様子を見る事が出来て、嬉しそうなマシュマロ。
本来は決して叶わない筈の経験が出来て、心から嬉しいのでしょう。
マナがブーケトスをした瞬間、突如停まる時間。
晴れがましい舞台を壊し、マナ達の未来を奪う為に、クラリネットが魔の手を伸ばしました。
彼が繰り出す巨大タコ型機械が、会場を破壊しようと触手を伸ばします。
操縦席に陣取る敵を粉砕する為に、艦内に侵入する事を決意するキュアハート。
クラリネットへの道案内は、犬の姿に戻ったマシュマロ。
仲間達は、2人の手助けをする為、触手と必死に応戦しました。
侵入までのシーンは、全編CGで演出。その激しい戦いは、映画の大画面でこそ映えます。
艦内に侵入した、キュアハートとマシュマロ。
息詰まる展開ながらも、再び一緒に散歩出来た事が、本当に嬉しそうでした。
クラリネットと対峙したキュアハート達。
他の仲間達も合流し、『プリキュアラブリーストレートフラッシュ』で、浄化を試みます。
しかし、人々に対する怨念が強かったのか、浄化する事は出来ませんでした。
反撃するクラリネット。キュアハートを庇い、その攻撃を受けるマシュマロ。
マシュマロは、マナと再会出来た事を喜び、その場に倒れました。
光に包まれて消えてしまったマシュマロ。
その場に残されたマシュマロのプシュケーを抱き締める、キュアハート。
こうしてマナは再び、マシュマロとの永遠の別れを経験する事になりました。
マシュマロのプシュケーが奇跡を呼び、『プリキュアエンゲージモード』に変身したキュアハート。
どんな時でも、相手と話し合う余地を探す事が出来た彼女が今、本気で怒っています。
「マロの心を弄んだあなたを、絶対に許さない!!」
問答無用で必殺技を放ち、クラリネットを倒したキュアハート。
「私が死んでも、忘れられたモノが居る限り、何度でも蘇る…!!」
彼の断末魔を、どんな気持ちで聞いたのでしょうか?
場面は、マナが生まれた瞬間へ。
生まれたマナを見て喜ぶものの、まだ名前を考えていなかった相田夫妻。
そんな2人を見て、「そんな事だろうと思ってたよ。」と、予め考えていた孫の名前を披露する五十鈴さん。
「私達の愛を、この子が受け継いでくれる様に。そして受け取った愛を人に分け与えられる子になって欲しい。」
「そしてこの子の愛が、次の世代に受け継がれる様に。」
おおよそこんな感じの事を言い、マナが生まれて来た事を祝福しました。
「お前に似たらきっと、お節介焼きの子になるだろうな!」
「アンタは、一言多いよ!」
夫の減らず口に、似た様な口調で言い返す五十鈴さん。
ほんの少しの遣り取りですが、2人の相性がピッタリだという事が窺えました。
クラリネットが倒され、人々の想い出が解放されて行きます。
そして、べベルの魂でもあるプシュケーを抱えたべベルは、静かにこう言います。
「私が今度こそ、迷わない様に連れて行く――。」
「ねぇ?おばあちゃんやマロに、また会えるの?」
マナの問いに、べベルは言いました。
「モチのロンさ!」
こうして、べベルの正体が五十鈴さんである事が判明し、マナは改めてお別れを言いました。
※『オモイデの国』の五十鈴さんがシャルルを違和感無く認識出来たのは、べベルと意識が繋がっていたからなのでしょう。
天に召された後、人間に酷似した状態で存在した、マシュマロ。
妖精べベルに転生し、マナを見守り続けた五十鈴さん。
両者の存在は、マナ達が住む世界が案外、『メルヘンの世界』である事の証拠なのかも知れません。
このシーンを観て、何だか本当に救われた気がしました。
「これからは、時々空を見上げて、マロの事を思い出しておあげ。」
「おばあちゃん!また会おうね!!」
そして、EDへ。『ラブリンク』の映画バージョンが披露され、エンドロールが流れた後、春のプリキュア映画の告知が。
『プリキュアオールスターズ New Stage3 永遠のともだち』
2014年3月15日(土)から、全国で上映されます。
『New Stageシリーズ』の最終作。この作品には、レジーナは登場するのでしょうか?
プリキュアか、それに準ずる存在で活躍してくれる事を、心から祈っています。
心地良い余韻を終えて、買い物を済ませた後、電車に乗り帰路に。
帰りの電車でふと、OP曲の歌詞が脳裏に浮かび、思わず泣き出しそうになりました。
――いい歳をした大人が、妹を連れている最中の電車内で泣く訳には行かず、少し困りました。
※今回の映画は、子供が観ても感動出来ると思いますが、それ以上に大人の琴線に触れる作品だと思いました。
様々な喜びや悲しみを経験した後、改めて今作を観ると、より深い感動を得る事が出来るのではないでしょうか?
そして、今回の映画を見た事で、僕のマナに対する印象が少し、変わりました。
一言で言うと、とても健気な女の子だと感じました。
今迄マナが何故、あんなにも他人の為に尽くすのか?
何があっても、決して諦めないのか?
今回の映画を観て、それらの謎が、全て解けた気がします。
マナが他人に常に寄り添おうとするのは、祖母・五十鈴さんとの『約束』を果たす為だと思います。
そして、どんなに小さな問題も見過ごさないのは、マシュマロとの悲しい別れがキッカケなのではないでしょうか?
『自分が受け取った、受け継いだ愛を他人に惜しみなく与え、次の世代に伝えて欲しい』
いすずさんが名付けてくれた、『愛(マナ)』と言う名前に込められた想い。
それを守り続ける事こそが、マナが五十鈴さんと交わした『最後の約束』なのだと思います。
また、マナは自分がほんの少しマシュマロの心に寄り添えなかった事がキッカケで、とても悲しい経験をしました。
それは勿論、偶然の産物なのでしょうが、マナにとっては、それは『事実』です。
マナはきっと、もう誰にも自分と同じ悲しみを味わって欲しくないのでしょう。
だからこそ、どんな小さな問題も見逃さず、誰もが悲しまないで済む様に尽力しているのだと思います。
そして、マナが決して何があっても諦めないのも、『愛を未来に伝える』為だと思います。
今回の映画で一番琴線に触れたのは、マロの本名がマシュマロと判明した瞬間です。
先程も書きましたが、OP曲の2番の歌詞が脳裏に浮かび、本当に衝撃を受けました。
今回の映画の内容とOP曲の歌詞の内容を重ねると、あの歌は、『マナが結婚式の際、五十鈴さんとマシュマロに語り掛けている』歌なのだと感じました。
まだまだ書きたい事はあるのですが、今の僕には、上手く書き尽くせません。
ただ、今回の映画を観て、『ドキドキ!プリキュア』がより一層好きになりました。
『ドキドキ!プリキュア』が好きで、まだ映画を観ていない方には、是非鑑賞する事をお勧めします。
きっと、満足出来る72分間になると思います。